高齢化社会と言われていますが、近年は独居老人も増えています。一人暮らししていた家族が亡くなってしまった際に、その家を片付けるのは大変な仕事です。

家族が亡くなったという辛い事実と向き合わなければなりませんし、もう少し自分に何か出来たのではないかと思い悩むこともあるでしょう。始めたもののなかなか進まず、それがストレスになったり金銭的な負担となったりすることもあります。

そんな中、それを代行してくれる遺品整理の専門業者が話題となりました。肉体的にも大変で精神的にも苦しい作業である遺品整理を短期間で代わりに行ってくれる遺品整理専門業者は時代の背景にもマッチしたのか、この数年間でかなり増えてきています。

仕事をしていて休みが取れなかったり、小さな子どもがいたり、遠方で往復するのが大変だったりする場合には、遺品整理専門業者に依頼することも有効です。

遺品整理専門業者に頼むと費用がかかりますが、短時間で終わるのが最大のメリットです。物によって処分方法が異なる様々な不用品もゴミも、すべて業者が持ち帰ってくれますので掃除がやっと終わったら今度はゴミの処分に悩むなどということがありません。

このゴミの処分が実はとても大変なのです。家具など大型のものは粗大ごみになりますが、量が多いと自治体に連絡して日時をあわせて取りに来てもらうことになりますし、一度では無理と言われることもあります。

かといって回収業者に依頼すると高額な処分料をとられてしまいます。また、燃えるゴミ、燃えないゴ[無料イラスト] ダンボールを回収する廃品回収車ミとして処理できないものも多くあります。仏壇や神棚、お守り、写真やアルバム、大切にしていた人形やぬいぐるみなどはゴミとして捨てにくいものです。こういったものはお寺や神社などでお焚き上げをしてもらうことが多いようです。

また、灯油、塗料、農薬などの危険物は一般ごみとしては処分できませんし、自治体も引き取ってくれません。危ないのでそのへんに撒くわけにもいきませんから、メーカーや販売店に依頼して引き取ってもらう必要が出てきます。

しかし最近はそういったニーズの高まりに応じて、遺品整理の専門業者ではなく不用品回収業者なども遺品整理業者を名乗るようになってきました。こういった業者はもともとの目的が違いますので、遺品を整理するのではなく単なるゴミ捨てのようになってしまい、遺族とトラブルになるケースもあるようです。

そういったトラブルを避けるためにも事前によく調べてから依頼しましょう。まずは必ず複数の遺品整理業者から見積もりを取ることです。複数の業者をそれぞれ呼んで見積もりを取るのは面倒な作業です。しかし後から騙されたと思うことがないようにしておきたいものです。

この時、見積もり同士を金額だけで比べてはいけません。見積もりが安くても後から処分料などの別料金が加算される方式もあるためです。すべて込みの料金なのか、基本料金にオプションが加算されていくタイプの料金なのかをよく見て、こういう場合にはどうなるのか、を事前に確認しておきましょう。

私も引っ越しの際に不用品回収業者を利用したことがあります。なんでも買い取ります、と宣伝していますが、実際に呼んでみると値段がつかない、無料でなら引き取る、捨てるのにお金がかかるのオンパレードです。結局こちらが面倒になり根負けしてかなりのお金を払うことになります。このような業者に遺品の整理を頼むのはトラブルのもとです。

高価なピアノだったのに処分料を取られた、骨董品がすべて捨てられてしまった、あったはずの貴金属[無料写真] 演奏中のピアノが見つからなかった、これらは真偽の程はわかりませんが高い費用を払ったうえに騙されたのではないか、盗まれたのではないかと後味が悪いことになりますので、思いつくことは事前に業者に伝えてください。

そして例え不要だとしても高額商品の買取りをこのような業者に出さないことです。５０万円で購入した真珠のネックレスが遺品だからという理由で数千円と言われたなど被害の報告も多いようです。

こういった業者は領収書や明細書などを発行しないので、後からわかってももう連絡がとれなかったり、もうわからないと相手にされなかったりするそうです。

不用品回収業者の仕事はゴミを捨てることです。しかし遺品整理は単なるゴミ捨てではありません。結果として多くものはゴミとして処分する必要が出ますが、目的はあくまで遺品を整理して残すもの、ゴミのように捨てるべきではないものを分けることにあります。

遺品整理の専門業者の場合、事前の打ち合わせがしっかりと行われます。何を処分するのかではなく、何を探せばいいのか、が大切だからです。

いくら良心的な専門の業者であっても、何を探しているのか、何を大切にしているのかがわからなければ選別のしようがなく、時間ばかりがかかってしまいます。事前に書類を探している、指輪があるはず、写真を探していると伝えておけば捨てることなく見つけ出してくれます。