生前整理について
生前整理依頼の流れ
生前整理と聞くと気持ちが重たく感じますが、実は部屋の整理整頓と思っていただくと気持ちが軽くなると思います。
長く住んでいると、部屋の中には小物などがいっぱい溢れ、住み始めた頃と比べるとスッキリ感がなくなり、見慣れた部屋もどんより見えます。なんとなく隙間家具やカラーボックスなどを増やして片付けていたけれど、「当初のように部屋をスッキリさせたい」「気分を変えたい」「部屋を模様替えしたい」と思って始めると良いでしょう。
その際には結果から入ると分かり易く、たとえば、今の家具もすべて廃棄して、シックな部屋や明るい部屋にするために、新たに家具も新調してイメージ通りの部屋にするのも良いでしょう。
そこまで行わず、家具の配置を変えてイメージチェンジがしたい。また、単に部屋の荷物の整理をしたい。そのときに手伝ってもらえたら楽だろうな・・・と考える方もいるでしょう。
このように部屋の片づけを思ったときが、生前整理を始めるタイミングでもあります。
ただ、生前整理は、単なる部屋の片づけだけでは無く、
・身の回りの日用品・家具の整理整頓
・財産の整理
・デジタル整理
・不用品の処分
・財産目録の作成
・遺言書の作成
・エンディングノートの作成
など、このような項目がホームページなどにも出ています。部屋を整理し始めると、いろいろな事に気付きますが、すべてを一気にやる必要はなく、この中から、やっておいた方がいいなと思われるものだけ考えて、そのやり方なども含めて相談することです。
まずは、全体的な話でもけっこうです。生前整理や遺品整理についてご相談ください。
生前整理とは
近年は、デフレ経済の影響から、物が「安く」「大量」「使い捨て」と、必要以上に買い物をして、ストックする方が多くいらっしゃいます。100円ショップ、コンビニエンス・ストアー、ファースト・ファッション等の増加が、更に増長させているように感じています。
更には、ネット・ショッピングの台頭により、より安価な商品を、自宅に居ながら購入が出来る環境が整い、より買物をして家の中に物が溜まりやすい状況が出来始めています。この傾向は、高齢者の方ほどご自宅に過剰なストックをする傾向が強いと実感しています。
それに伴ってか、近年は遺品整理の依頼が急増しています。今後、高齢化が進んでいく事で、ますます増加していきます。2025年には、団塊の世代の約800万人の方が、75歳以上になられます。日本人の平均寿命が80歳前後ですので、このような統計数値を考えても、遺品整理が増えてくるのは必然ではないでしょうか。
しかし、多くの方はご自分が亡くなった事を考えるのは、中々向き合えないのが現実です。高齢になり、ご自分の寿命が近づいていると気付いた時に、どう死後の対処を行うかは、事前に考える必要性が近年は高まってきました。
では、一体何をしたら良いのかとなると、多くの事を準備する必要があります。その中の一つ、私達では「遺品整理」をスムーズに行う為の、「生前整理」についてご説明出来ればと思います。なぜ「遺品整理」の前に「生前整理」が必要かというと、
①遺品整理に掛ける費用を抑える為です。
遺品整理会社に依頼した場合、一軒家のご自宅を全て片づけると、量にもよりますが、約100万円かかる場合もあります。その為、遺品整理の費用を少しでも抑えるためには、早い段階から時間を掛けて生前整理で、片付けを進める事が確実に費用を抑えていけます。
②遺品整理に掛ける時間を抑える為です。
膨大な遺品の中には、亡くなられた方の思い出や記憶が残る話など、片づけたくても片付けられない時間が続きます。人間の気持ちは、思っている以上に簡単には整理が付かないものだと、多くの遺品整理の現場から体感する事が沢山あります。
膨大な量の遺品に埋もれながら、毎日、毎週末、毎月と、延々と荷物の整理に明け暮れるのは、プロの私達が行うのは出来ますが、普段から体験をされていない方にすると、とても苦しい時間だとお聞きします。悲しお別れが、最後は片付け苦労から、大きな負担になってしまっては、亡くなられた方も後悔が残ります。
このような、遺品整理でご苦労されている方々を拝見してきたからこそ、生前整理をお勧めしております。
生前整理の時代背景
現在、ご高齢の方々の中には、戦前・戦中に生まれで、モノを手に入れるのに大変苦労されて生活されて来た方も多くいらっしゃいます。そのような方々は、恐らく、ようやく手に入れたモノに愛着心を持ち、手放すことに不安や執着心すら覚えることもあるのではないでしょうか。
また、戦後の団塊の世代以降の方は、生まれながら沢山のモノに囲まれて育ってきた方も多く、捨てることに不安を持たず、むしろ新しいモノに買い替えるといった買い替えの文化を持ち、新しいモノが出ると欲しがり、すぐに買ってしまう物欲の文化をお持ちではないでしょうか。
そう考えると、今のこの時代、昔の人は古いモノが多く、さらに新しいモノも持ち、今の人は古いモノは無いが新しいモノがあふれているといった、モノが多いことに変わりないことになります。
昔は三世代同居などの大家族が一つ屋根の下に暮らしている時代がありましたが、今の世の中は核家族化が進み、一人暮らしの老人や、老老介護をしているご夫婦など、ご高齢の方が子や孫世代と別居して暮らしています。家の中を片付けたいと思っていても、体力的に厳しいものを感じて、そのままになってしまったり、あるいは、片付けることが面倒に思われて手付かずなのではないでしょうか。
そんな中、いざ、ご自身の身に、もしものことがあったらと考えるようになり、今あるモノの整理(生前整理)と、遺産(遺品整理)について、どうしても考えるようになります。そしてそれは、自身の人生を振り返り、昔に思いを馳せるようになり、身辺整理を考えるようになるからです。その考えは、ご自分が残す家族への思いでもあります。それが生前整理です。
もしものことがあった後に、残した家族が大変な思いをして、自分の遺品整理をすることになります。捨てていいのか悪いのか、「この部屋使いたいから要らない」と言う家族、「もったいないから取っておこう」と言う家族、「それじゃー持っていって」、両方の意見が一つひとつのモノに対して協議することになるかも知れません。
だからこそ、生前整理として生きている間にご自身の身の回りのモノを、想い切って断捨離することを考えなくてはならないのです。残った家族の手間を最小限に抑えることも必要なのです。
自分で生前整理するのが面倒なら、それを手伝ってくれる業者に頼んで、[要る/要らない]の判断の手助けしてくれる。本当に今残すべきモノだけにする。業者に生前整理してもらうのも、ひとつの方法です。
生前整理で困ること
モノを思い切って捨てられるか。いわゆる断捨離ができるかどうかです。大きなモノから、小さなモノまで、一つひとつ[要る/要らない]を判断することです。思い切って捨てることを選ばないと、結局、多くのモノが残ることになります。
それは、残された家族に[要る/要らない]の判断を委ねることになってしまいます。
あとは、[要る]として残したモノを、どう保管し、あるいは、いつ、どのように廃棄して欲しいのかを伝えておくことです。そこまでが生前整理の範疇になります。[要る/要らない]の判断の中で、一番と言えるほど、時間を要してしまうモノがあります。それは『写真』です。
残しておいたら恥ずかしいと思う写真があったりします。アルバムに整理されていればまだ良いのですが、ばらばらのスナップ写真が何枚もあり、人によっては数百枚、あるいは数千枚出てきます。
自分が他界した後、出てきた写真を遺族が整理するのは大変です。思い悩んだ末に、エイヤーで全部捨ててしまうことが多いようですが、見られて恥ずかしいと思う写真は、先に処分しておきたいですし、自身が歩んで来られた道を再確認させてくれる、自分にとってとても大切なモノなので、自分で整理(生前整理)したいと思いますよね。
写真を生前整理するにあたっては、大きく2つの問題が生じます。
一つ目は、『想い出に浸ってしまって時間がかかる』ことです。
写真は想い出そのもの、写真に写っている時がよみがえり、ついつい、当時を思い出しては、
「こんな格好していたんだ」
「〇〇さん元気かなぁ、何してるかなぁ」
「あの時のみんなにもう一度逢いたいなぁ」
「この場所に、もう一回行ってみたいなぁ」
写真を一枚一枚手にしては、じっくり眺めて、片づけていることを忘れてしまい、時間があっという間に過ぎてしまうことです。
二つ目は、『捨てるのが難しい』ことです。
生きてきたひとつのシーンがそこにあり、顔が映っていたり、自分は写ってなくても知り合いの顔が映っていたり、見覚えのある風景写真などにも思いを馳せ、無闇に捨てられなくなります。
そんな2つの問題を解決する方法として言われているのが、マイベストアルバムを作成して、それ以外は処分するというやり方です。
マイベストアルバムとは、これまで自分が輝いていたときの写真30枚だけをピックアップして、小さな手のひらサイズのアルバムを作ることです。
自分が映っていても、いなくても、このとき自分が輝いていたなと思える写真だけを取り分けて、分類された写真をどんどん絞って30枚までに落とし込んで、アルバムを作成します。
アルバムが出来たら、処分する写真は処分日を決めて、しっかりと処分しましょう。
マイベストアルバムを作成すると、持ち歩くようになって、ちょくちょく開いては、そこに輝いているころの自分を見て、当時の自分に励まされ、元気をもらい、前向きな気持ちにさせてくれる魔法のアルバムになるようです。
最後に、マイベストアルバムは、一緒に棺に入れてもらいましょう。
失敗しない生前整理会社の選び方
最初にお客様に寄り添う対応をしてくれる業者を選びましょう。例えば、お客様にとって大切な品物を、一般的な考えで不用品と判断してしまうことがあるようで、作業が終わった後で、大切にしていたものが無いと気付いたり、また、雑に扱われたりして傷がついていたり、単なる荷物として扱われたと言った思いをされては困るので、お客様の言われることや、お考えに共感して作業をしてくれる業者を選びましょう。
生前整理アドバイザーやライフオーガナイザー、整理収納アドバイザーなどといった資格をもっていることや作業にかかる料金が明確であること、1社だけではなく何社か見積りを取ることで、比較などをした上でお決めになることをお勧めいたします。
ただし、料金が安いからという理由で決めてしまうのは間違いです。実作業を始めるとオプションと称した費用が発生し、後で高額請求に代わるなどの悪徳業者も考えられます。ご自身の目でしっかりと見積もり作業や見積もり書の内容を確認して決めましょう。
見積りをしっかりと時間を掛けて行い見積書を作成し、掛かる費用を提示した中で、作業内容・手順などをちゃんと説明してくれて、これ以上の料金は発生させないという会社を選びましょう。
生前整理に関する支援制度
ご高齢になり、住んでいる家を出て、息子さん夫婦の家に隠居したり、介護施設に入居となったときに、今まで住んでいた家が空き家になったりするので、その家を整理する必要が出てきます。
その際に空き家のまま放置することはお勧めできません。むしろ、早めの検討をお勧めします。万が一、そのままにしておくと、土地・家屋に対して固定資産税を納めなければなりません。また、本人名義の車があれば、自動車税も納める必要があります。転居届も必要です。転居届を出さないでいると住民税も納めることになり、3つ合わせると、年間でおよそ20~30万円前後の税金を納める必要が出てきますので、早めにご家族で相談されて、対応することが望まれます。
更に税金対策をお考えであれば、生前に空き家を放置せず、不動産に出して売って、相続税の軽減に繋げるなども可能です。1年で受け取った財産の総額が110万円以上になるような暦年課税を避けることも考えましょう。
また、市町村によっては生前整理にかかる費用を、一部負担できる制度があるようです。調べてみることをお勧めいたします。
生前整理の優先順位
優先順位をつけるためには、そのものが必要なものか、それとも捨てるものか、保留した方が良いものなのか、3つに分けて仕分けをすることが生前整理の優先順位になります。
必要なものの中にも、生前に必要なものと、亡くなられたら不要になるものとに分けることが出来ます。そこまで明確にしておくと、後々整理をする方が楽になります。
処分すると決めたものの中には、値打があるものがあるかもしれません。基本的には減価償却的に値打は下がる方が多いですが、骨董品、美術品などの中には、値打が上がることもありますので、鑑定士に鑑定してもらうことをお勧めします。当社で、鑑定士を紹介することもできます。
保留品は少ないほど良いとされています。後々整理する方が悩むことになるからです。どういった仕分けを希望されているのか明記しておくか、誰に後を引き継いでもらうのか明記して文章として残しておきましょう。
少子高齢化時代に役に立つ生前整理
時間に余裕持って計画を立てることをお勧めいたします。特に家族と話してどういうことをするのかなど計画を立てたり自分が出来ることを明確に決めることで本人や家族の負担がなくなるのでそちらをお勧めいたします。
日本には古からの習わしで、長男が家督を継ぎ、親の面倒をみるような風潮があり、長男は自然とそういう気持ちになっていくことが多いと言えます。また、姉妹も同じように長女が・・・と自然に考えたりします。でも、今の時代はどうでしょうか。
大きな会社で働くことを目指して勉強し就職します。そこで働き海外で働くなど、世界各国で活躍している日本人が多くいます。現代において、海外に居て親の面倒を看たくても看る事が出来ない人もいます。また、その反面、自分の生活を守ることに必死の人もいます。子供のいない高齢者も多くいらっしゃいます。親および高齢者は、自身で先々のことを考えて行動しなければならない時代になってきています。
『子が親を』の時代は難しい世の中に代わってきています。その証として、介護施設がいっぱい出来て、介護従事者の方が面倒を看る時代になり、終の棲家まで存在します。ですから、生きている間に身の周りの整理を行う生前整理が重要と言われています。