生前整理とは

近年は、デフレ経済の影響から、物が「安く」「大量」「使い捨て」と、必要以上に買い物をして、ストックする方が多くいらっしゃいます。100円ショップ、コンビニエンス・ストアー、ファースト・ファッション等の増加が、更に増長させているように感じています。

更には、ネット・ショッピングの台頭により、より安価な商品を、自宅に居ながら購入が出来る環境が整い、より買物をして家の中に物が溜まりやすい状況が出来始めています。この傾向は、高齢者の方ほどご自宅に過剰なストックをする傾向が強いと実感しています。

それに伴ってか、近年は遺品整理の依頼が急増しています。今後、高齢化が進んでいく事で、ますます増加していきます。2025年には、団塊の世代の約800万人の方が、75歳以上になられます。日本人の平均寿命が80歳前後ですので、このような統計数値を考えても、遺品整理が増えてくるのは必然ではないでしょうか。

しかし、多くの方はご自分が亡くなった事を考えるのは、中々向き合えないのが現実です。高齢になり、ご自分の寿命が近づいていると気付いた時に、どう死後の対処を行うかは、事前に考える必要性が近年は高まってきました。

では、一体何をしたら良いのかとなると、多くの事を準備する必要があります。その中の一つ、私達では「遺品整理」をスムーズに行う為の、「生前整理」についてご説明出来ればと思います。なぜ「遺品整理」の前に「生前整理」が必要かというと、

①遺品整理に掛ける費用を抑える為です。
遺品整理会社に依頼した場合、一軒家のご自宅を全て片づけると、量にもよりますが、約100万円かかる場合もあります。その為、遺品整理の費用を少しでも抑えるためには、早い段階から時間を掛けて生前整理で、片付けを進める事が確実に費用を抑えていけます。

②遺品整理に掛ける時間を抑える為です。
膨大な遺品の中には、亡くなられた方の思い出や記憶が残る話など、片づけたくても片付けられない時間が続きます。人間の気持ちは、思っている以上に簡単には整理が付かないものだと、多くの遺品整理の現場から体感する事が沢山あります。

膨大な量の遺品に埋もれながら、毎日、毎週末、毎月と、延々と荷物の整理に明け暮れるのは、プロの私達が行うのは出来ますが、普段から体験をされていない方にすると、とても苦しい時間だとお聞きします。悲しお別れが、最後は片付け苦労から、大きな負担になってしまっては、亡くなられた方も後悔が残ります。

このような、遺品整理でご苦労されている方々を拝見してきたからこそ、生前整理をお勧めしております。

生前整理の時代背景

現在、ご高齢の方々の中には、戦前・戦中に生まれで、モノを手に入れるのに大変苦労されて生活されて来た方も多くいらっしゃいます。そのような方々は、恐らく、ようやく手に入れたモノに愛着心を持ち、手放すことに不安や執着心すら覚えることもあるのではないでしょうか。

また、戦後の団塊の世代以降の方は、生まれながら沢山のモノに囲まれて育ってきた方も多く、捨てることに不安を持たず、むしろ新しいモノに買い替えるといった買い替えの文化を持ち、新しいモノが出ると欲しがり、すぐに買ってしまう物欲の文化をお持ちではないでしょうか。

そう考えると、今のこの時代、昔の人は古いモノが多く、さらに新しいモノも持ち、今の人は古いモノは無いが新しいモノがあふれているといった、モノが多いことに変わりないことになります。

昔は三世代同居などの大家族が一つ屋根の下に暮らしている時代がありましたが、今の世の中は核家族化が進み、一人暮らしの老人や、老老介護をしているご夫婦など、ご高齢の方が子や孫世代と別居して暮らしています。家の中を片付けたいと思っていても、体力的に厳しいものを感じて、そのままになってしまったり、あるいは、片付けることが面倒に思われて手付かずなのではないでしょうか。

そんな中、いざ、ご自身の身に、もしものことがあったらと考えるようになり、今あるモノの整理(生前整理)と、遺産(遺品整理)について、どうしても考えるようになります。そしてそれは、自身の人生を振り返り、昔に思いを馳せるようになり、身辺整理を考えるようになるからです。その考えは、ご自分が残す家族への思いでもあります。それが生前整理です。

もしものことがあった後に、残した家族が大変な思いをして、自分の遺品整理をすることになります。捨てていいのか悪いのか、「この部屋使いたいから要らない」と言う家族、「もったいないから取っておこう」と言う家族、「それじゃー持っていって」、両方の意見が一つひとつのモノに対して協議することになるかも知れません。

だからこそ、生前整理として生きている間にご自身の身の回りのモノを、想い切って断捨離することを考えなくてはならないのです。残った家族の手間を最小限に抑えることも必要なのです。

自分で生前整理するのが面倒なら、それを手伝ってくれる業者に頼んで、[要る/要らない]の判断の手助けしてくれる。本当に今残すべきモノだけにする。業者に生前整理してもらうのも、ひとつの方法です。

生前整理で困ること

モノを思い切って捨てられるか。いわゆる断捨離ができるかどうかです。大きなモノから、小さなモノまで、一つひとつ[要る/要らない]を判断することです。思い切って捨てることを選ばないと、結局、多くのモノが残ることになります。

それは、残された家族に[要る/要らない]の判断を委ねることになってしまいます。

あとは、[要る]として残したモノを、どう保管し、あるいは、いつ、どのように廃棄して欲しいのかを伝えておくことです。そこまでが生前整理の範疇になります。[要る/要らない]の判断の中で、一番と言えるほど、時間を要してしまうモノがあります。それは『写真』です。

残しておいたら恥ずかしいと思う写真があったりします。アルバムに整理されていればまだ良いのですが、ばらばらのスナップ写真が何枚もあり、人によっては数百枚、あるいは数千枚出てきます。

自分が他界した後、出てきた写真を遺族が整理するのは大変です。思い悩んだ末に、エイヤーで全部捨ててしまうことが多いようですが、見られて恥ずかしいと思う写真は、先に処分しておきたいですし、自身が歩んで来られた道を再確認させてくれる、自分にとってとても大切なモノなので、自分で整理(生前整理)したいと思いますよね。

写真を生前整理するにあたっては、大きく2つの問題が生じます。

一つ目は、『想い出に浸ってしまって時間がかかる』ことです。

写真は想い出そのもの、写真に写っている時がよみがえり、ついつい、当時を思い出しては、

「こんな格好していたんだ」

「〇〇さん元気かなぁ、何してるかなぁ」

「あの時のみんなにもう一度逢いたいなぁ」

「この場所に、もう一回行ってみたいなぁ」

写真を一枚一枚手にしては、じっくり眺めて、片づけていることを忘れてしまい、時間があっという間に過ぎてしまうことです。

二つ目は、『捨てるのが難しい』ことです。

生きてきたひとつのシーンがそこにあり、顔が映っていたり、自分は写ってなくても知り合いの顔が映っていたり、見覚えのある風景写真などにも思いを馳せ、無闇に捨てられなくなります。

そんな2つの問題を解決する方法として言われているのが、マイベストアルバムを作成して、それ以外は処分するというやり方です。

マイベストアルバムとは、これまで自分が輝いていたときの写真30枚だけをピックアップして、小さな手のひらサイズのアルバムを作ることです。

自分が映っていても、いなくても、このとき自分が輝いていたなと思える写真だけを取り分けて、分類された写真をどんどん絞って30枚までに落とし込んで、アルバムを作成します。

アルバムが出来たら、処分する写真は処分日を決めて、しっかりと処分しましょう。

マイベストアルバムを作成すると、持ち歩くようになって、ちょくちょく開いては、そこに輝いているころの自分を見て、当時の自分に励まされ、元気をもらい、前向きな気持ちにさせてくれる魔法のアルバムになるようです。

最後に、マイベストアルバムは、一緒に棺に入れてもらいましょう。

失敗しない生前整理会社の選び方

生前整理アドバイザーやライフオーガナイザー、整理収納アドバイザーなどといった資格をもっていることや作業にかかる料金が明確であること、1社だけではなく何社か相見積をとることで、比較が出来るのでそちらをお勧めいたします。

生前整理に関する支援制度

介護施設に入居するときに、今まで住んでいた家が空き家となります。しかしものがそのままとなり、家族で行うのがとても負担が大きいと思います。そのため市町村によっては生前整理にかかる費用を一部負担できる制度があります。

生前整理の優先順位

優先順位をするためにはそのものが必要なものか、それとも捨てるものか、保留などの3つに分けて仕分けをすることが生前整理の優先順位と思います。

少子高齢化時代に役に立つ生前整理

遺品整理の時にもお伝えいたしましたが、時間に余裕持って計画を立てることをおすすめします。特に家族と話してどういうことをするのかなど計画を立てたり自分が出来ることを明確に決めることで本人や家族の負担がなくなるのでそちらをおすすめいたします。